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残業代請求お悩み相談室

年俸制だと残業代はもらえない?年俸制の場合の残業代について


shutterstock_313380641近年、給与の支払い方法として導入されるケースが増えているのが「年俸制」です。この記事を読んで下さっている方のなかにも「年俸制」のもとで働かれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。この年俸制は、成果主義を最も強く反映できる給与体系という意味で、近年多くの企業で導入されてきています。

しかし、この年俸制の導入に伴って近年増えているのが残業代の未払いの問題です。企業側は、この年俸制を理由に、残業代を支給しないことも少なくありません。
実際、「自分は年俸制だから残業代をもらえないのでは?」と思われている方も少なくないのではないでしょうか。

 そこで今回は、年俸制を賃金体系としている場合でも通常の月給制の場合と同様に残業代が発生するのか、などについて説明していきたいと思います。ご参考になれば幸いです。

目 次

1、年俸制の場合には残業代はもらえない?
2、年俸制の場合の残業代計算方法
3、実際に残業代を請求する方法

1、年俸制の場合には残業代はもらえない?

冒頭でもお話したように、近年給与の支払い方として「年俸制」が導入されるケースが増えています。では、年俸制の場合には、残業代は発生しないのでしょうか。

年俸制を採用していて、残業代を支給しない会社の言い分としては、「うちは年俸制だから、一年間の給与は決まっている。だから、別途残業代を支払う必要はない。」というものがあります。

しかし、年俸制であっても残業代をもらうことができます。
会社側は「年俸制だから」という理由で残業代の支払いを拒否することはできないのです。

2、年俸制の場合の残業代計算方法

(1)計算方法
では、年俸制の場合、残業代はどのように計算するのでしょうか。 

年俸制の残業代は、まず、年俸額を12で割って月額賃金を算出します。そして次に、月額賃金を1ヵ月の所定労働時間で割って時給を算出します。その上で、時給に時間外の割増率及び実際に働いた残業時間を掛け算して算出することになります。

すなわち、
残業代=年俸額÷12÷1ヶ月の所定労働時間×割増率×残業時間
となります。

(2)実際に計算をしてみましょう!
では、実際に(1)の計算式をもとにして、具体的に残業代を計算してみましょう。 

例えば、年俸額が600万円、1ヵ月の所定労働時間が170時間の方が、1ヵ月20時間の残業を行った場合には、
600万円÷12÷170時間×1.25×20時間=73,530円(1円未満切り上げ)となります。

3、実際に残業代を請求する方法

(1)揃えるべき証拠
残業代を請求しようとする場合には、どのような証拠を集めたら良いでしょうか。残業代の請求にあたっては、大きく分けて以下の4種類の証拠が必要になります。

①残業していたことを証明する証拠
例えば、
・タイムカードや毎日の勤務時間表のコピー
・出勤簿のコピー
・交通ICカード型定期の通過履歴
などです。

②残業代の計算にあたり必要な証拠
例えば、
・雇用契約書
・就業規則
などです。

③会社が十分な給与を支払っていなかったことを証明する証拠
全労時間が書かれている給与明細が必要になります。
もし、残業代を計算して、残業代が発生していた場合には、実際に会社に対して未払い残業代を請求することになります。

(2)会社との交渉方法
①まずは普通に交渉!
実際の残業代の金額が出たら、それをもとに残業代を会社が自主的に支払ってくれるよう、会社側と話し合いましょう。
コンプライアンスを重視している会社であれば、おそらくその時点で未払いの残業代を支払ってくれるはずです。 

しかし、コンプライアンスを無視しているようないわゆる「ブラック企業」の場合には、話し合いすらまともに応じてくれないことも多いです。

②話し合いが上手くいかないようであれば内容証明郵便を送る!
会社側が残業代を自主的に支払ってくれないようであれば、今度は会社に以下の内容を記載した内容証明郵便(郵便局が通知した内容を証明してくれる郵便のことです。)を送りましょう。

1.相手方の会社の名前・住所
2.あなたの名前・住所
3.雇用契約について
4.残業の事実と残業代未払いの事実について
5.「残業の事実と残業代未払いの事実」を証明する証拠があること
6.残業代の金額(場合によっては別送で残業代計算書を送ってもよいです。)
7.請求金額と支払い期限
8.支払い口座

中小企業であまり法律に詳しくない場合には、内容証明郵便が公的な書面の体裁を備えていることから、未払い残業代を支払わないといけないと考え、残業代を支払ってくれる可能性があります。
ただし、内容証明郵便は法律的にはあくまで普通の書面であるため、内容証明郵便をもらい慣れている会社は支払ってくれない可能性が高いです。 

もっとも、そのような場合でも、内容証明郵便を送ることで「時効の進行を止める」という効果はあります。残業代の時効は2年間で、2年前のものまでしか請求できません。そのため、時効によって請求できる残業代の金額が減ることを避ける意味で、内容証明郵便を送ることは重要です。

(3)交渉が決裂してしまった場合の方法
会社との任意の交渉で残業代を回収することができなかった場合には、以下の手続きをとって残業代の回収を図ることになります。

①労働審判
労働審判とは、解雇や給料の不払いなど、事業主と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブルをそのトラブルの実情に即し、迅速、適正かつ実効的に解決することを目的として、平成18年に創設された手続きのことです。
訴訟(裁判)と同じく裁判所で行われる手続きです。期日は3回以内とされており、訴訟に比べて、早期解決が期待できる手続です。 

そして、「労働審判」は、裁判所の判断なので、確定すれば判決と同一の効力があり、差押え(強制的に会社の財産を没収し、そこから残業代を支払ってもらうこと)をすることも可能になります。

もっとも、審判の結果にどちらかが納得いかなかった場合に、審判に対する当事者から異議の申立てがあれば、労働審判はその効力を失い、労働審判事件は結局、訴訟に移行することになってしまいます。

②訴訟
労働審判をしても解決できなかった場合には、裁判所に民事訴訟を提起して、残業代を回収することになります。

まとめ

今回は、年俸制でも残業代をもらえるかについて説明してきましたがいかがだったでしょうか。
繰り返しになりますが、年俸制の場合でも、残業をすれば当然に残業代をもらうことができます。
今回の話が、年俸制の場合でも残業代がもらえるのかどうか悩まれている方のご参考になれば幸いです。


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