残業代請求の弁護士コラム

深夜残業は何時から何時まで? 自分の残業代が正しいか確認する方法

2022年03月10日
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深夜残業は何時から何時まで? 自分の残業代が正しいか確認する方法

毎日忙しく深夜まで仕事しているにもかかわらず、賃金は一向に増えないといった不満を感じていませんか?深夜の労働と賃金で疑問をお持ちの方は、自身に支払われている深夜残業代についてチェックしてみることをおすすめします。

深夜に労働させた場合、会社は深夜残業代として割増賃金を支払わなければなりません。深夜残業の仕組みは複雑ですが、会社がきちんと支払っていなければ違法となる可能性があり、労働者は深夜残業代を請求できます。

本コラムでは、深夜残業が多い方であれば知っておきたい、深夜残業の定義や深夜残業代の計算方法、深夜残業代が支払われていない場合の請求方法などについて解説します。

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1、そもそも残業とは?

「残業」とは、規定の労働時間以後も残って仕事をすることです。
ただし「規定の労働時間」には大きくふたつの種類があり、残業について正確に理解するためには、労働時間に関する正確な知識が必要になります。

まずはこの2種類の労働時間について説明します。

  1. (1)法定労働時間

    労働時間の種類の1つ目が、法律によって決められている「法定労働時間」です。
    労働基準法第32条は、労働時間の上限「休憩時間を除き1日8時間、週40時間」と定めています。

    労働基準法第37条の規定によると、法定労働時間を超えて残業させた場合、会社は労働者に対し、残業代として割増賃金を支払わなければならないとされています。
    割増賃金の割増率も決まっていて、通常の賃金の25%以上となっています。

  2. (2)所定労働時間

    2つ目は「所定労働時間」です。
    所定労働時間は、就業規則などで会社が独自に定めた労働時間、いわゆる「定時」を意味します。

    法定労働時間の範囲内であれば、会社は所定労働時間を自由に決めることができます。
    そのため、「午前9時から午後5時、休憩1時間」「午前10時から午後4時、休憩45分」など、それぞれの会社や労働者によって所定労働時間は異なります

    所定労働時間以降の残業では、残業代に付属する割増賃金が発生しないケースもあります。会社に割増付きの残業代支払いの義務が発生するのは「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を超えて労働させた場合のみです

    たとえば、所定労働時間が7時間の労働者が、1時間残業して8時間仕事をしたとしても、法定労働時間を超えていないので、会社は残業代の割増賃金は支払う義務を負いません(ただし、この場合、会社は1時間分の残業に対して割増のない通常の賃金を支払う義務を負います。)。

2、深夜残業は何時から?

「深夜残業」とは、深夜に規定の労働時間を超えて働くことを意味します。
では、「深夜」とはそもそも何時から何時までを指すのでしょうか。

  1. (1)深夜残業は何時から何時まで?

    労働基準法には、深夜時間帯についての規定も盛り込まれています。

    労働基準法 第37条4項
    午後10時から午前5時までの間に労働させた場合、その時間の労働に対しては25%以上の割増賃金を支払わなければならない


    すなわち、「深夜残業」は、午後10時から午前5時の時間帯に行った残業が該当します。

  2. (2)管理監督者でも深夜残業代は請求できる

    まずは管理監督者の扱いです。
    管理監督者の地位にあたる方は、基本的に労働時間や休憩、休日に関する労働基準法の規定の適用除外になっています。
    法定労働時間も適用されないため、管理監督者に対しては、通常の残業に対する残業代の支払い義務もありません。

    しかし、深夜労働に関する規定は適用除外とされていないことから、管理職も深夜残業をすれば、深夜残業代が支払われます。
    通常の残業代が適用除外だからといって、管理職に深夜残業代が支払われていない場合、違法となります。

    なお、法律上、管理監督者にあたる方についての要件が定められています。
    たとえ肩書きでは店長など管理職と位置付けられている方であっても、職務の内容や権限、賃金などが経営者とほぼ同じと考えられる程度の重要な立場でない場合は、管理監督者ではないといえます。

    そのため、会社内で管理職と呼ばれる役職名で従事していたとしても、法律上の管理監督者にあたるケースでない場合、深夜残業代だけでなく、そのほかの残業代についても未払いであれば請求できる可能性があることに注意が必要です。

  3. (3)仮眠時間がある場合の扱いはどうなる?

    深夜帯の労働では「仮眠時間」が設けられていることもあります。
    基本的に、この仮眠時間が、仮眠中に突然業務が入ることがなく、自由に外出してもよいなど労働から解放されているような状態であれば、会社側に深夜残業代を支払う義務はありません。

    仮眠時間でも深夜残業代が支払われるケース
    しかし、仮眠時間という名称がついていたとしても、深夜残業代が支払われるケースがあるので確認が必要です。

    具体的には、以下のようなケースでは、「労働からの解放が保障されていない」などとして、労働時間と認められる可能性が高いでしょう。

    • 仮眠時間でも自由な行動はできない(外出禁止など)
    • 実質的には仮眠中であっても呼ばれれば業務に対応しなければならない


    つまり、たとえ「仮眠時間だから深夜残業代は支払わない」と言われても、仮眠時間中も拘束されていて労働することがあれば、深夜残業代が支払われる可能性があります。

3、深夜残業代の正しい計算方法

深夜残業代の具体的な計算方法について説明します。

  1. (1)基礎賃金を算出する

    深夜残業代を計算するためには、まず割増賃金の基礎となる「1時間あたりの賃金(基礎賃金)」を算出しなければなりません。

    基礎賃金の計算式 ※月給制の場合

    「月給」÷「1か月あたりの平均所定労働時間」

    ※「月給」からは、労働とは直接関係のない手当を除外します。

    除外される代表的な手当は次のとおりです。

    除外される代表的な手当
    • 通勤手当
    • 家族手当
    • 別居手当
    • 住居手当
    • 子女教育手当
    • 臨時に支払われた賃金
    • ボーナスなど1か月を超える期間ごとに支払われる手当


    1か月あたりの平均所定労働時間
    「1か月あたりの平均所定労働時間」は、

    「1年間の所定労働時間数」÷12

    で算出します。

    1年間の所定労働時間数
    「1年間の所定労働時間数」は、1日の所定労働時間に1年間の就労日数をかけて求めることができます。

    たとえば、1日の所定労働時間が8時間で、1年間の就労日数が245日だった場合、1年間の所定労働時間数は8×245で1960時間です。これを12で除したものが1か月あたりの平均所定時間で、この場合は1960÷12で163.3時間となります。

    時給制の場合
    時給制の場合、時給額が基礎賃金となります。
    出来高払いの歩合給(実績給)制の場合は、歩合給の額を総労働時間で割って基礎賃金を算出します。

  2. (2)深夜残業の割増率は「1.5」

    労働基準法第37条は、

    • 法定労働時間を超えて残業させた場合の割増率を25%以上
    • 深夜時間帯に労働させた場合の割増率を25%以上

    とそれぞれ定めています。

    さらに、深夜残業となると、深夜労働の割増率に法定労働時間を超えた分の割増率が上乗せされ50%以上となるのです。そのため、計算式では「1.5」となります(すなわち、法定労働時間を超えていなくても、深夜労働をしただけでも25%以上の割増がかかります)。

    残業代の計算式は以下のとおりです。

    法定時間内の残業代計算式
    「基礎賃金」×「法定時間内残業の時間」


    法定時間外労働の残業代
    (「基礎賃金」×「割増率(1.25)」)×「法定時間外残業の時間」


    深夜労働の計算式
    「基礎賃金」×「割増率(1.25)」×「深夜時間帯の労働時間数」


    法定時間外労働かつ深夜労働だったときの計算式
    「基礎賃金」×「割増率(1.5)」×「深夜時間帯の労働時間数」
  3. (3)深夜残業代の計算例

    実際の例で深夜残業代を計算してみましょう。

    Aさんが午前9時から深夜0時まで仕事をした場合、受け取れるはずの残業代を計算します。

    Aさんの賃金と労働条件
    • 基本給23万5000円
    • 精皆勤手当8000円
    • 家族手当2000円
    • 通勤手当1万5000円
    • 年間就労日数243日
    • 就業規則で定められた始業時間が午前9時、終業時間が午後6時、休憩時間が1時間
    • 1日の所定労働時間8時間
    • みなし残業の規定はない


    計算していく順番は次のとおりです。

    ① Aさんの月給を求める

    基本給23万5000円+精皆勤手当8000円で24万3000円

    ※家族手当や通勤手当は含まれないため計算に含まない

    ② Aさんの「1か月あたりの平均所定労働時間」

    (1日の所定労働時間8時間×年間就労日数243日)÷12=162時間


    ③ Aさんの基礎賃金(1時間あたりの給料)を計算する

    24万3000円÷162時間=1500円


    ④ Aさんの残業時間を求める
    午前9時始業、1時間の休憩をはさむため、午後6時以降に業務を行うと、法定時間外労働分の残業代が発生します。定時となる午後6時から0時まで残業しているので、法定時間外労働の内訳は以下のとおりです。

    法定時間外労働の内訳
    • 法定時間外労働をした時間……4時間
    • 法定時間外労働+深夜労働をした時間……2時間


    ⑤ Aさんの深夜労働にかかる前の法定時間外労働賃金を求める

    法定時間外労働をした4時間分の残業代
    基礎賃金1500円×法定時間外労働4時間×割増率1.25=7500円


    法定時間外労働+深夜労働をした2時間分の残業代
    基礎賃金1500円×2時間×割増率1.5=4500円


    ⑥ Aさんがこの日受け取れるはずの残業代

    7500円+4500円=1万2000円


    したがって、深夜残業代を含め正確に計算した場合、Aさんが深夜0時まで残業をした日に受け取れるはずの残業代は、通常残業と深夜残業を合わせて1万2000円になると考えられます。

4、深夜残業代が正しく支払われていない場合の対応

深夜残業代の計算は複雑です。
しかし、残業代を含む賃金を正しく受け取ることは、労働者の権利なので、深夜残業代が適切に支払われていない場合は請求をしましょう。
未払いになっている深夜残業代があるとき、取るべき手段について解説します。

  1. (1)会社へ支払いを請求する

    深夜残業代が正しく支給されていなければ、会社に対して支払いを請求することができます。自分が請求したいと思ったタイミングで、いつでも請求することはできますが、請求権には時効があることに注意が必要です。

    深夜残業代を含む賃金の請求権は、以下の通りです。

    賃金の請求権の時効
    • 令和2年4月1日以降に発生したものに関しては現状3年
    • それ以前のものは2年で消滅


    未払いの深夜残業代は、2~3年が経過すると請求することができなくなってしまうので、早めの対応が重要です

    深夜残業代が適切に支給されていないと感じた場合、直接会社に話をしてみることは最初の一手になります。

  2. (2)弁護士に相談する

    未払いの深夜残業代があるにもかかわらず、会社側が未払いではない、支払わない、などと回答した場合、弁護士に相談してください。

    ① 正確な残業代を請求してもらえる
    実際に会社に請求するとなれば、深夜残業の時間を把握した上で、請求額を確定しなければなりません。

    個人でも深夜残業代を計算することは可能ですが、過去の分までさかのぼるとなると大変な作業になりますし、みなし残業などがついている場合はより計算が複雑になります。
    仕事をしながら行うのは簡単なことではないでしょう。

    弁護士に相談することによって、まずは本当に未払いの深夜残業代があるのか、ある場合はどれぐらいなのかなどの計算を依頼することができます。

    ② 証拠集めをサポートしてもらえる
    また、深夜残業代を請求するためには、深夜に残業したことを示す証拠を集めなければなりません。

    タイムカードなどの入手ができない場合、何が深夜残業の証拠になるのか、弁護士からアドバイスを受けることができるほか、証拠が手元にないときは、会社に開示請求をしてもらうことなども可能です。

    ③ 交渉を全て弁護士に任せることができる
    会社との交渉は、物理的にも精神的にも重荷になりますが、弁護士に依頼すれば交渉の窓口として対応をまかせることができます。

    交渉がまとまらず訴訟になった場合にも、弁護士が代理人となってすべての手続きを代行するので安心できるでしょう。

5、まとめ

通常の残業代でも正確に把握して計算するのは簡単ではありません。
そこに深夜残業代が加わることで、より複雑な計算が求められます。

深夜残業代が適切に支払われていないと感じても、個人で確認するのは難しく、どう対処すればよいか分からないという方も多いでしょう。
しかし、深夜残業代の支払いは法律で義務付けられており、労働者には未払いの深夜残業代を請求する権利があります

深夜残業代の問題でお悩みなら、労働問題の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所へご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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