残業代請求の弁護士コラム

テレワーク中は残業禁止と上司から指示。残業代は支払われないの?

2021年01月06日
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テレワーク中は残業禁止と上司から指示。残業代は支払われないの?

新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、いまやテレワークで働く方も少なくないでしょう。テレワークは、通勤にかかるコストを削減できるなど大きなメリットがある一方、残業代が支払われないなどの労働問題が発生する場合もあります。

法律上、テレワークであっても、オフィスでの勤務と同じように労働時間が管理され、残業が発生すれば残業代が支給されなくてはなりません。

会社から残業禁止命令が出されている場合であっても、業務量が多すぎるなど残業せざるを得ない状況にあるのなら、残業代を請求できる可能性があります。

本コラムではテレワークにおける残業の取り扱いについて解説します。

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1、テレワークの定義と働き方の分類

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用した、時間や場所の制限がない柔軟な働き方を指す言葉です。
働く場所によって、以下の3つの働き方に分類されます。

在宅勤務
在宅で勤務する方法です。自宅にいながらパソコンや電話などを用いて働きます。

モバイルワーク
営業先や外出先、移動中などに、パソコンや携帯電話などを用いて働く方法です。

サテライトオフィス勤務
自宅以外のオフィススペースでパソコンや電話などを用いて働く方法です。
自社専用または数社が共同で利用するサテライトオフィスなどがあります。

2、テレワークで発生しやすい問題とは?

テレワークは業務効率の改善やワークライフバランスの向上などの利点がある一方で、次のような問題が指摘されています。

労働者側の問題
  • 長時間労働になりやすい
  • 正当な評価を受けられない不安がある
  • ほかの労働者とのコミュニケーションの機会が減るため孤独感を抱きやすい
など

会社側の問題
  • 労働者の健康管理や正確な労働時間の把握が難しい
  • セキュリティのリスクがある
など

社会の問題
  • サテライトオフィスのような社会的環境の整備が不十分である
  • 子育て世代のテレワーク利用に対する社会の理解が進んでいない
など

3、残業は法律でどのように規定されている?

テレワークで働く場合も通常の働き方と同様に、残業をすれば残業代が支払われる必要があります。では、会社から残業禁止の命令が出ているのに残業をした場合、残業代は支給されるのでしょうか。

法律における残業の定義を整理したうえで、使用者が残業を禁止している場合の取り扱いを確認しましょう。

  1. (1)残業には「法定時間外労働」と「法定内時間外労働」の2種類がある

    一般に「残業」といわれるものには、「法定時間外労働」「法定内時間外労働(法内残業)」があります。

    ①法定時間外労働
    労働基準法第32条では、使用者は労働者に対して、1日8時間、週に40時間を超えて労働させてはならないと規定されています。これを法定労働時間といい、法定労働時間を超えた労働を法定時間外労働といいます。
    つまり、法定時間外労働は法律で原則として禁止されているわけです。

    しかし、使用者は労働者との間で協定(いわゆる36協定)を締結し、労働基準監督署へ届け出た場合に限り、協定に定めた範囲で労働者に法定時間外労働をさせることができます(労働基準法第36条)。
    もっとも、36協定に定めることのできる法定時間外労働の限度時間については、1か月に45時間まで、1年で360時間までという制限が設けられており(労働基準法第36条4項)、無制限に残業が可能となるわけではありません。

    また、通常予見できない業務量の大幅な増加等がある場合に、特別な条項を結んで前記制限を超えることができる場合もありますが(労働基準法第36条5項)、その場合でも限度となる時間があり、やはり無制限に残業が可能となるわけではありません。

    テレワークの場合も同じです。
    オフィス外で働いているからといって、制限なく残業させられる理由にはなりません。

    ②法定内時間外労働(法内残業)
    また、たとえば会社と従業員の間で1日の労働時間(所定労働時間)が7時間と定められているような場合には、1日に7時間を超えて働いた分も所定労働時間外の労働、すなわち「残業」ということになります。

    上記の労働基準法第36条を裏返すと、36協定を特に結んでいなくても、会社は1日8時間までは従業員を働かせることが許されると解釈できます。
    そこで、所定労働時間が8時間よりも短く定められている場合に、所定労働時間を超える労働のうち、1日の労働時間が8時間を超えない部分までを、「法定内時間外労働(法内残業)」などと呼んでいます。

  2. (2)「法定時間外労働」と「法定内時間外労働」の違い

    ①割増賃金の扱いが異なる
    法定時間外労働については、通常の賃金の1.25倍以上1.5倍以下の割増賃金を支払わなければならないことになっています(労働基準法第37条1項本文)。
    これに対し、法内残業に関してそのような規制はありません。

    もっとも、会社の就業規則などで法内残業についても割増賃金を支給すると定められていれば、その規定に従って割増賃金を請求することができます。

    ②法内残業は、割増がかからなくとも請求できる
    また、法内残業に関して、労働基準法で割増賃金の支払い義務が定められていないからといって、通常の賃金すら支払わないでいいわけではありません。
    法内残業も時間外労働ですので、割増はかからなくとも、その分の賃金を基本給とは別に請求できます。

  3. (3)会社から残業禁止の指示が出ている場合は、残業代の支給対象にはならない

    会社から残業しないよう指示されている場合、その指示は業務命令ですので、労働者は原則として残業することができません。
    残業を禁止されているのに自発的におこなった残業は、会社の指揮命令に基づいた労働とはいえず、労働時間に含まれないことになるため、残業代の支給対象になりません。

    しかし、会社が形式的には残業を禁止しておきながら、実態としては残業をせざるを得ない状況にあるのなら、残業代の不支給が違法となる可能性はあります。

    たとえば次のような場合です。

    実態としては残業をせざるを得ない状況であった場合の一例
    • 明らかに就業時間内に終わらない量の業務を与えられている
    • 納期に間に合わせるために残業せざるを得ない
    • 会社内で残業が放置・黙認されている

4、「残業禁止」と指示されていても残業代を請求できるケース

会社から残業を禁止されていながら残業した場合でも、以下のケースでは残業代を請求できる可能性があります。

  1. (1)黙示の残業命令があるといえるケース

    会社が表向きは残業禁止といいながら、明らかに就業時間内に終えられない量の業務を命じるなどして残業せざるを得ない状況を作り出していた場合には、「黙示の残業命令」があったとみる余地があります。

    黙示の残業命令があったといえる場合は、残業も会社の残業命令に基づいてなされたことになりますので、当然その分の残業代を請求できます。

  2. (2)残業の禁止・許可制が周知・徹底されていないケース

    黙示の残業命令があったとまではいえなくても、残業代を請求できる場合があります。
    会社が残業を禁止・規制するのであれば、ただ単に残業するなと規制しさえすればそれでよいわけではありません。

    実際に残業をしなくて済むように、業務量や納期を調整し、場合によっては、就業時間内に終えられない業務を管理監督者に引き継ぐなどの代替措置がとられている必要があります。
    また、残業禁止命令や許可制に違反して残業する労働者に対しては、しっかり注意して残業をやめさせなくてはなりません。

    これらの周知・徹底をせずに「労働者が勝手に残業しているだけ」というのは、残業を黙認しておきながら、残業代を支払わずに労働力だけを一方的に享受する行為であり、会社にとって虫の良すぎる話です。このような場合にはもはや、残業が会社の関知しないところで勝手になされているとはいえません。

    このように、残業の禁止・許可制が適切に周知・徹底されていない場合には、残業がなお会社の指揮命令の下になされたものとして、残業代を請求できる可能性があります。

5、残業代を請求する方法

テレワークで残業が発生しているのに会社が残業代を支払わない場合は、以下の方法で請求することができます。

  1. (1)残業代請求に有効な証拠を集める

    まずは残業代の請求に必要な証拠を集めます。
    以下のようなものが証拠となり得ます。


    証拠の一例
    • 雇用契約書や就業規則など、残業代の支給や計算方法の根拠となる書類
    • 給与明細書など、残業代が未払いであることを証明できる書類
    • 始業・終業時間や休憩時間を記録したメモや写真、上司へ始業・終業を報告したメールなど、残業した時間を確認できるもの
    • 残業指示書や上司からの業務依頼メール、業務報告書など、残業した事実を確認できるもの
  2. (2)残業代を計算する

    次に、残業代がいくらになるのかを計算します。

    ①計算式
    計算式は、法定時間外労働の場合「残業した時間×1時間あたりの賃金×割増率」です。

    法内残業の場合は、会社の就業規則等に割増賃金を支払うという定めがなければ割増賃金とはならず、通常の1時間当たりの賃金が発生するということになります。

    ②残業した時間の出し方
    「残業した時間」は、法定時間外労働の計算では法定労働時間を超えて労働した時間を指します。
    法内残業の残業代計算では、所定労働時間を超えて労働した時間(法定労働時間内に限ります)です。

    ③1時間あたりの賃金の出し方
    「1時間あたりの賃金」は、基本的には、「基本給および諸手当÷1か月の所定労働時間」で計算します。

    ただし諸手当には、家族のいる方に支給される家族手当や通勤手当など、法律上算入しないと規定されている手当があります。
    また、上記のように法律上算入しないと規定されている手当の他にも、事実上残業代と解釈できるものは算入されない場合もあるので、計算方法については詳しくは弁護士に相談した方が良いでしょう。

    ④割増率
    割増率は、いつ、どの時間に働いたのかによって異なりますが、

    • 通常の法定時間外労働であれば、2割5分以上
    • 深夜労働(午後10時~午前5時まで)は、2割5分以上
    • 法定時間外+深夜労働であれば、合わせて5割以上

    となります。

  3. (3)会社に残業代の支払いを求める

    会社に残業代を請求します。方法としては、担当部署に直接交渉する方法や、内容証明を用いて請求書を送付する方法などがあります。
    会社が応じない場合は、最終的に労働審判や訴訟を利用して請求しますが、現時点でどの方法を選択するべきなのかは状況によって異なります。

    労働組合や労働基準監督署、弁護士等へ相談し、どのような方法で請求できるのかを聞いてみるとよいでしょう。

6、弁護士に残業代請求を依頼すべき理由

  1. (1)具体的な対応方法についてアドバイスをもらえる

    自分で直接会社に残業代を請求しても解決しない場合や、最初から会社とトラブルになることが予想される場合などは、弁護士への相談が有効です。

    弁護士に相談すると、今後の流れや必要となる対応、請求に必要な証拠の種類や集め方などをアドバイスしてもらえます。

  2. (2)早期解決が見込め、心身の負担も軽減される

    労働者が交渉を試みても会社が応じないケースは多いですが、交渉を弁護士に依頼することで、会社が重要な労働問題だと認識して交渉に応じ、早期に解決できる可能性が高まります。
    もちろん労働審判や訴訟など法的手続へと進んでいった場合も代理人として手続を依頼できるため、ご自身の心身の負担が軽減されるでしょう。

    また「コロナの影響で解雇されそう…」「残業代請求の相談と一緒に解雇の相談もしたい」など、残業代請求以外の労働問題のお悩みがあった場合でも、弁護士なら状況に合わせて最適な対処方法を提案してくれます。

7、まとめ

オフィスで働く場合も自宅で働く場合も、単に働く場所が異なるというだけで、いずれも労働基準法が適用される点に変わりはなく、残業をすればその分の残業代を請求することができます。

また、残業禁止の命令が出されていても、客観的に見て就業時間内で終わらない業務量を与えられている、残業禁止命令がきちんと周知されていないなどの事情があれば、残業代を請求できる可能性があります。

テレワーク中の残業代が支給されずにお困りであれば、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。
法律の観点から残業代の対象となるのかを確認したうえで、実際に請求する場合にも代理人となり、ご希望の結果となるよう力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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