残業代請求の弁護士コラム

在宅勤務のみなし残業で残業代は発生する? 請求前に確認すべきこと

2020年12月22日
  • 労働問題
  • 在宅勤務
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  • 弁護士

在宅勤務のみなし残業で残業代は発生する? 請求前に確認すべきこと

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、在宅勤務を導入した会社は少なくありません。在宅勤務では勤務時間とプライベートな時間の切り分けが難しく、労働時間管理のあり方や残業代の算定方法などについて疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

「みなし残業制度」が導入されている場合も、在宅勤務が労働問題に発展しやすいケースのひとつです。

今回は、みなし残業制度の仕組みを説明するとともに、在宅勤務で未払い残業代が発生した場合の確認事項や請求方法などについて弁護士が解説します。

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1、在宅勤務であっても、みなし残業制度があっても、残業代は支払われる!

在宅勤務などのテレワークでも、法定労働時間を超えた労働時間については、会社は従業員に対して時間外の割増賃金(残業代)を支払わなければなりません。

みなし残業制度を採用した場合も同様です。
たとえ在宅勤務であっても、みなし残業時間を超えて残業した場合、会社はその分の残業代を支払う必要があります。

2、みなし残業(固定残業制)の仕組み

  1. (1)そもそも、みなし残業制度とはどんな制度?

    みなし残業制度とは、「20時間」や「30時間」など、あらかじめ一定時間を残業したとみなし、固定残業代として基本給や手当などの固定給に含めて支払う制度です。
    固定残業制度と呼ばれることもあります。

    みなし残業制度は、営業職などに適用される「事業場外のみなし労働時間制」や研究職などに適用される「裁量労働制」のように、労働基準法に定められた労働時間制度ではありません。

  2. (2)会社が任意に導入できる。適切に制度を運用すれば違法とはならない

    みなし残業制度は適用要件や適用範囲が厳格に定められておらず、会社が任意に導入することができます。
    就業規則への明記やみなし時間を超えた分の残業代の支払いなど、適切に制度を運用すれば違法とはなりません。
    正しく運用されたみなし残業制度では、あらかじめみなした時間まで残業しなくても、固定残業代が満額支払われます。

    一方、みなし時間を超過した残業には、その超過分を固定残業代に加えて支払うことになります。みなし時間を超えて残業した月のお給料に超過分の残業代を加えて支払うことをせず、実際の残業時間がみなし時間に到達しなかった月に充当するといった取り扱いはできません。

  3. (3)会社と従業員、それぞれにメリットがある

    みなし残業制度は、会社と従業員の双方にメリットがあります。

    ●会社のメリット
    残業時間がみなし時間内に収まれば残業代の計算に手間がかからない。

    ●従業員のメリット
    効率的に業務をこなして残業時間を削減しても、固定残業代を満額受け取れる。


    一方で、在宅勤務においてみなし残業制度が適用される場合には、労働時間の把握が難しいことを理由に固定残業代をカットされる、超過分の残業代が支払われないなどのトラブルが発生する恐れがあります。

3、在宅勤務でも労働基準法は適用される?

在宅勤務においても、オフィスで勤務する場合と同様に、従業員(労働基準法上の労働者)には労働基準法などの労働基準関連法令が適用されます。

労働基準法上の労働者とは、「職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」のことです(労働基準法第9条)。
したがって、在宅勤務でみなし残業制度を適用する場合でも、会社は労働基準関連法令を遵守しなければなりません。

労働基準関連法令には、次のようなものがあります。

労働基準関連法令

  • 労働基準法(労働時間・年次有給休暇・休日・時間外割増賃金など)
  • 労働契約法(労働条件の内容の変更など)
  • 最低賃金法(最低賃金など)
  • 労働安全衛生法(定期健康診断の実施など)
  • 労働者災害補償保険法(労災保険の給付など)
  • 賃金の支払の確保等に関する法律(未払賃金の立替払制度、退職労働者の未払賃金に係る遅延利息など)


4、未払い残業代を請求する前に確認すべきこと

在宅勤務は、通勤時間の削減や業務の効率化、ワークライフバランスの実現など、さまざまなメリットがある勤務形態です。
しかし、一部の会社では、残業代の未払いや固定残業代のカットなど、従業員が不当な扱いを受けるケースも少なくありません。
未払いの残業代を請求するにあたっては、事前に次の事柄について確認しておきましょう。

  1. (1)雇用形態を確認

    雇用形態は大きく分けて「雇用型」と「業務委託型」という2つの形があります。

    ① 雇用型
    残業代を請求するためには、労働基準法が適用される労働者であること、つまり会社との雇用関係がある「雇用型」であることが必要です。

    ② 業務委託型
    個人事業主など、会社からの依頼を受けた外部の人材が業務を遂行する「業務委託型」は、民法の請負契約や委任契約を根拠としており、労働基準法は適用されないため、原則として残業代は請求できません。

  2. (2)残業代を請求するにあたっての条件

    在宅勤務での残業代を請求するにあたっては、次の2つの条件を満たしていることが必要です。

    • 会社との間で雇用契約が締結されていること。
    • 残業の許可申請や業務報告など、就業規則に在宅勤務についての定めがある場合には、それを遵守していること。
  3. (3)残業の許可申請と業務報告

    ①残業の許可を得ているか
    上司の目が直接行き届かない在宅勤務では、許可を得ずに勝手に残業をした場合には、残業代の支払いを拒否される恐れがあります。
    労働基準法上の労働時間とは、あくまで使用者の指揮命令下におかれている時間を指すからです。

    残業をしなければならないときは、必ず上司に申請し、許可を得たうえで業務を遂行することが大切です。みなし残業制度で定められた時間内の残業でも、残業の許可を得るようにしましょう。

    ③ 使用者の具体的な指示にもとづいているか
    また、残業代の支払いの対象となる業務が、「使用者の具体的な指示にもとづいていること」が必要です。
    業務報告について社内ルールが定められている場合には、そのルールを遵守します。
    ルールが設けられていない場合でも、メールやチャットなどにより、日ごろから業務について上司に相談し、業務報告を怠らないようにしましょう。

5、未払い残業代を請求する方法を解説

就業規則や社内ルールに従い、上司の許可を得て残業をしたのに残業代が支払われないときには、どのように対応すればよいのでしょうか。未払い残業代を請求するには次の方法があります。

  1. (1)会社と話し合う

    会社が支払うべき残業代を計算して、残業代請求書を作成します。
    請求書を会社に提出し、支払ってくれるように申し入れします。

  2. (2)内容証明書の送付

    会社が話し合いに応じてくれない場合や支払いを拒否された場合には、会社に内容証明書を送付します。
    未払い残業代の時効は2年(令和2年4月以降に支払われる賃金については当面3年)ですが、内容証明書を送付することにより、時効期間を6か月延ばすことができます。

    未払い残業代の時効については、詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
    2020年4月から、残業代請求の時効が3年に!残業代請求はどう変わる?

  3. (3)労働基準監督署・労働局に相談する

    未払い残業代のほか、会社の労働時間管理や賃金管理について疑問を感じたら、各地域の労働基準監督署・労働局に設置してある「総合労働相談コーナー」でアドバイスを受けることができます。

  4. (4)労働審判

    会社との交渉が決裂した場合には、法的手続きを用いて未払い残業代を請求します。
    労働審判とは、裁判所に申し立てて行われる紛争解決手続きです。原則3回以内の期日で審理するため、訴訟に比べると早期の解決が期待できるでしょう。

  5. (5)訴訟

    もちろん訴訟(労働裁判)を起こして請求することも可能です。

  6. (6)弁護士に相談する

    会社と未払い残業代について交渉するには労働基準法などの法的知識が必要であり、個人が会社と直接交渉するのはなかなか難しいことです。
    場合によっては退職勧奨などの嫌がらせを受ける恐れもあるでしょう。

    弁護士を介入させると、法的知識や経験に基づく主張により会社との円滑な交渉が期待できるうえ、退職勧奨などの不当な扱いにも対抗できます。
    残業代の証拠集めのアドバイスや残業代の算定、内容証明の送付などについても対応してもらえるでしょう。

6、まとめ

在宅勤務は労働時間管理が難しいことから、長時間勤務やサービス残業などの問題が生じやすい勤務形態です。みなし残業制度であっても、あらかじめ定めた時間を超えた残業については残業代を請求することができます。

未払い残業代を請求するのなら、弁護士に相談することをおすすめします。
在宅勤務で未払い残業代が発生してお困りであれば、労働問題の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所へお任せください。
早期のトラブル解決に向けて全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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