残業代請求の弁護士コラム

残業代が支払われていないなら知っておきたい!未払い残業代請求をする場合の証拠や手順

2018年10月23日
  • 労働問題
  • 手順

残業代が支払われていないなら知っておきたい!未払い残業代請求をする場合の証拠や手順

「残業代を会社が支払ってくれない。残業代を会社に請求したい!でも、自分で残業代を請求したいけれど、どうしたらいいのか分からない…。」

このようなお悩みを抱えている方も、多いのではないでしょうか。



今回は、未払い残業代を請求する場合の手順について説明していきます。ご参考になれば幸いです。

1、未払い残業代請求ができる場合とは?

そもそも残業代請求ができるのは具体的にどのような場合でしょうか。

労働者が所定の労働時間を延長して労働を行ったにもかかわらず、延長して行った労働に対して賃金が支払われていない場合には、残業代等の未払いが生じている可能性があります。

具体的には、以下のような場合において残業代を請求できる可能性が高いです。

  • 所定の就業時間を超えて働いたにもかかわらず、その超えた分の残業代等が支給されない
  • 1日8時間を超えて働いたにもかかわらず、その超えた分の残業代等が支給されない
  • 1週間で40時間を超えて働いたにもかかわらず、その超えた分の残業代等が支給されない
  • 午後10時~午前5時までの間に働いたにもかかわらず、深夜労働に対する割増賃金が支給されない
  • 休日に働いたにもかかわらず、休日労働に対する割増賃金が支給されない


これは自分のことかも?と思った方は、残業代を請求できる可能性があります。

2、未払い残業代請求に必要な証拠は?

残業代を請求しようとする場合には、証拠が不可欠です。
証拠がなければ「残業の事実はないから、残業代は払わない!」「残業代はすでに払っているから払わない」などと言われた場合、反論できないこともあるからです。

残業代の請求にあたっては、以下の証拠が必要です。

①残業していたことを証明する証拠
例えば、

  • タイムカードや毎日の勤務時間表のコピー
  • 出勤簿のコピー
  • シフト表
  • 日報
  • タコグラフ


②残業代の計算にあたり必要な証拠
例えば、

  • 雇用契約書
  • 就業規則
  • 賃金規則
  • 給与明細

3、未払い残業代請求の手続きの流れ

未払い残業代は以下の流れで請求することになります。

  1. (1)証拠を揃える

    前述したような証拠をそろえる必要があります。

    ただし、きちんと勤務記録を管理していないような職場や、退職後などの場合には、どのような証拠があればいいのか、どのように集めればいいのかわからないケースもあるでしょう。

    そのような場合でも、諦めないでください。
    使用者(雇用主)は、労働契約上の付随義務として、労働者にタイムカードを適正に打刻させ、労働者からタイムカードの開示を求められた場合には特段の事情がない限り保存しているタイムカードを開示すべき義務を負うと判示されています(大阪地判平成22年7月15日労判1014号)。

    簡単に言うと「会社は従業員の勤務時間はきちんと管理して保管しなさい、そして、従業員から『勤務時間の記録をください』と言われたら、保管していた勤務記録を渡しなさい」ということです。

    弁護士にご相談いただければ、具体的な証拠の集め方のアドバイスをすることもできますし、ご自身で勤務記録の開示を要求したが拒否されたという場合には、弁護士から開示を求めることにより、勤務記録が開示されるケースもあります。

    ただし、勤務記録の保管自体をしない会社や、勤務記録の改ざんを行う悪質な会社も存在しますので、ご自身の勤務記録は、日頃からしっかりご自身で集めておくに越したことはありません。

  2. (2)残業代を計算する

    そろえた証拠を元に、法的な根拠に則った残業代の計算式で、本来貰えるはずの残業代を計算します。

    ただし、具体的な労働条件、例えば、1日の所定労働時間、休日の定め、変形労働時間制が採用されているか否か、固定残業代の支払の有無、賃金の定めなどにより、計算方法は異なります。

    これらを判断した上で残業代を算出する必要がありますので、法的知識がない一般の方が、正確な残業代を計算するのは、大変手間がかかるでしょう。

    弁護士にご依頼いただければ、残業代の計算は全てお任せいただいてOKです。
    まずはご相談いただき、いくらもらえるのかご自身の正確な残業代を知るところからスタートすることをお勧めします。

  3. (3)会社と交渉し、解決を目指す

    実際の残業代の金額が出たら、それをもとに残業代を任意に支払ってくれるように、会社側と話し合いましょう。コンプライアンスを重視している会社であれば、おそらくその時点で未払いの残業代を支払ってくれるはずです。

    交渉の際には、会社に以下の内容を記載した内容証明郵便(郵便局が通知した内容を証明してくれる郵便のことです。)を送ることも有益です。

    • 相手方の会社の名前・住所
    • あなたの名前・住所
    • 雇用契約について
    • 残業の事実と残業代未払いの事実について
    • 「残業の事実と残業代未払いの事実」を証明する証拠があること
    • 残業代の金額(場合によっては別送で残業代計算書を送ってもよいです。)
    • 請求金額と支払い期限
    • 支払い口座


    内容証明郵便には一定のインパクトがあるでしょうし、それ以外にも内容証明郵便を送ることで「時効の進行を止める」という効果があります。残業代の時効は2年間とされているため、2年前より前のものは請求できない可能性が高いです。

    そのため、時効によって請求できる残業代の金額が減ることを避ける意味で、内容証明郵便を送ることは重要です。

    しかし、いわゆる「ブラック企業」の場合や、会社にも法的な主張がある場合には、任意の支払を受けることは難しいでしょう。

  4. (4)交渉が決裂した場合は、労働審判・訴訟へ

    会社との任意の交渉で残業代を回収することができなかった場合には、以下の手続きをとって残業代の回収を図ることになります。

    ①労働審判
    労働審判とは、解雇や給料の不払いなど、事業主と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブルをそのトラブルの実情を踏まえて、迅速適正かつ実効的に解決することを目的として、平成18年に創設された手続きのことです。

    訴訟(裁判)と同じく裁判所で行われる手続きです。期日は3回以内とされており、訴訟に比べて、早期解決が期待できます。

    そして、「労働審判」は、裁判所の判断であるため、確定すれば判決と同一の効力があり、差押え(強制的に預金などの会社の財産を没収し、そこから残業代を支払ってもらうこと)をすることも可能になります。

    もっとも、審判の結果にどちらかが納得いかなかった場合に、審判に対する当事者から異議の申立てがあれば、労働審判はその効力を失い、労働審判事件は結局、訴訟に移行することになってしまいます。

    ②訴訟
    労働審判をしても解決できなかった場合や、労働審判による解決の見込みがない場合、事案が複雑で労働審判による解決に適さない場合には、裁判所に民事訴訟を提起して残業代を回収することになります。
    いわゆる「労働裁判」になりますので、労働問題に詳しい弁護士についてもらうことをお勧めします。

4、弁護士に依頼するメリット

残業代請求は必ずしも弁護士に依頼する必要はなく、ご自身で請求することもできます。
しかし、会社側も簡単には残業代を支払いません。そのため、交渉のプロである弁護士に依頼した方が回収の可能性は上がります。

また、以下のようなメリットがあるため、残業代を請求する際には、弁護士に依頼することも前向きに検討した方がよいでしょう。

  1. (1)豊富な知識・経験

    残業代の請求を弁護士に依頼した場合には、全ての対応を弁護士がご本人に代わって行います。

    弁護士は、法的知識や裁判例、過去の経験に基づいて、裁判や交渉を行う法律の専門家です。
    特に、残業代請求に強い弁護士は、同種の事件を多数扱っていますので、法律や裁判例だけではなく、労働法に関する通達にも精通しており、ご依頼者にとって、最大限有利な条件で残業代を取り戻す方法をご提案できます。

  2. (2)時間や労力の軽減

    弁護士は、依頼者の代理人として行動しますので、ご本人が会社の社長や人事の方と直接やり取りを行う必要はなく、全ての対応を弁護士が行い、依頼者には弁護士から経過報告を行うことになります。

    そのため、時間や労力だけではなく、精神的な負担も大幅に軽減できることが見込めます。

  3. (3)専門知識が必要な手続きの一任

    前述のように、残業代請求はご自身でもできます。しかし、会社側が任意に応じず、それでも残業代を回収したい場合には、労働審判や裁判をして回収する必要があります。

    しかし、労働審判や裁判をして回収する場合には、高度な専門知識が要求されるため、法的知識のない一般の方々にとっては、ご自身のみで行うのは非常に困難でしょう。

    労働分野に精通している弁護士に依頼すれば、専門的な知識が要求される手続きを全て任せることができます。
    また、最終的に裁判で残業代を回収しようとした場合、弁護士は、裁判の場でも代理人として活動できる権限があるので、交渉から裁判までの全ての手続きを任せることができます。

  4. (4)相手への心理的プレッシャー

    本人が請求するよりも、弁護士に依頼して請求した方が、会社側が「最終的に裁判になると困る」と思い、案外あっさり要求に応じるケースが少なくありません。
    この点も、弁護士に依頼するメリットといえるでしょう。

5、まとめ

今回は未払い残業代を請求する場合の手順について説明してきましたがいかがでしたか。皆様が未払い残業代の請求をする際の一助になれば幸いです。

最終的にご自身で請求する方法を選択するとしても、一度弁護士に相談してみることは決して無駄なことではありませんので、まずは一度弁護士にご相談なさることをお勧めします。

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