残業代請求の弁護士コラム

「残業代ゼロ法案」が閣議決定!今後残業代が支払われない労働者が増える可能性

2015年12月15日
  • 労働問題
  • 残業代ゼロ法案

「残業代ゼロ法案」が閣議決定!今後残業代が支払われない労働者が増える可能性

「残業代ゼロ法案」が閣議決定されましたが、この法案が具体的にどのような法案であるかご存知でしょうか。今後あなたの生活に密接に関わる可能性があるので、今のうちからきちんとご理解頂きたい法案です。
今回は、残業代ゼロ法案について説明していきます。ご参考になれば幸いです。

1、そもそも残業代ゼロ法案とは?

メディアなどでは「残業代ゼロ法案」と呼ばれていますが、そもそも正式名称は、「日本型新裁量労働制」と言います。

この法案は、簡単に言えば、年収1,075万円以上の高度な専門業務に就いている人について、残業代の支払い対象から除外しようとするものです。
その目的は「労働時間ではなく成果で評価する」ことにあるとされています。

2、残業代ゼロ法案が通った場合に残業代がもらえなくなるのはどのような場合?

現時点では、残業代ゼロ法案は通っていませんが、もしこの法案が通ってしまった場合に残業代がもらえなくなるのは、以下の2つの要件を満たした場合です。

  1. (1)特定高度専門業務に従事していること

    まず、対象業務が限定されています。
    具体的には、以下の5業務です。

    • 金融ディーラー
    • アナリスト
    • 金融商品開発
    • コンサルタント
    • 研究開発

  2. (2)平均賃金額の3倍を相当程度上回る水準の賃金額であること

    具体的には、年収が1,075万円以上であることが必要です。

3、残業代ゼロ法案は何が問題?

この残業代ゼロ法案、場合によっては、過労死法案と呼ばれることもありますが、一体何が問題なのでしょうか。
主要なものとしては以下の2点が懸念されています。

  1. (1)長時間労働が増加

    ①労働時間規制の撤廃
    現在の法律では、1日8時間、1週間で40時間を超える労働は原則禁止されています。
    しかし、残業代ゼロ法案が通った場合には、前述の2要件を満たした方についてこの労働時間規制が撤廃され、究極的には24時間連続勤務も可能になります。

    ②休憩時間が無くなる
    現在の法律では、使用者は、6時間を超える労働に対しては45分、8時間を超える労働に対しては1時間の休憩を労働者に対して与える必要があります。
    しかし、残業代ゼロ法案が通った場合には、休憩時間を対象の労働者に与える必要がなくなり、エンドレスに働かせることが可能になります。

    ③休日が無くなる
    現在の法律では、使用者は、週1回の休日または4週間4日以上の休日を労働者に対して与える必要があります。
    しかし、残業代法案が通った場合には、休日を労働者に与える必要がなくなり、対象の労働者を連日働かせることも可能になります。

  2. (2)残業代が支払われない

    現在の法律では、時間外労働、休日・深夜労働に対しては、割増賃金が支払われることになっています。
    しかし、残業代法案が通った場合には、これらを使用者は支払う必要が無くなります。
    つまり、対象の労働者は、残業代が一切もらえなくなるのです。

4、残業代ゼロ法案は現在どのような状況?いつ成立予定?

2015年の4月3日に残業代ゼロ法案が閣議決定され、2015年の通常国会での法案成立を目指した政府ですが、見送られました。
しかし、政府としては、来年の通常国会で成立させようとしており、今後の国会の動向に注目が集まります。

まとめ

今回は、残業代ゼロ法案について説明してきましたが、いかがだったでしょうか。
今後の残業代ゼロ法案の行方に注目したいところです。

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