残業代請求の弁護士コラム

残業代を請求するために知っておきたい5つのこと

2015年10月27日
  • 労働問題
  • 基礎知識

残業代を請求するために知っておきたい5つのこと

これをお読みの方には、「私の会社では残業代が一切支払われない。でも、残業代が払われないのはおかしい!」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は残業代を請求する上で、最低限、知っておきたい5つのことについて説明していきます。
ご参考になれば幸いです。

1、そもそも残業代を請求できるのはどのような場合?

労働者が所定の労働時間を延長して労働を行ったにもかかわらず、延長して行った労働に対して賃金が支払われていない場合には、残業代等の未払いが生じています。

具体的には、以下のような場合において残業代が請求できる可能性が高いです。

  • 所定の就業時間を超えて働いたにもかかわらず、その超えた分の残業代等が支給されない
  • 1日8時間を超えて働いたにもかかわらず、その超えた分の残業代等が支給されない
  • 1週間で40時間を超えて働いたにもかかわらず、その超えた分の残業代等が支給されない
  • 午後10時~午前5時までの間に働いたにもかかわらず、深夜労働に対する割増賃金が支給されない
  • 休日に働いたにもかかわらず、休日労働に対する割増賃金が支給されない

2、残業代請求の具体的な方法

次は残業代請求の具体的な方法について説明していきます。
なお、未払いの残業代等を請求する場合、必ずしも弁護士に依頼する必要はありません。
では、具体的な方法についてみていきましょう。

  1. (1)まずはおおまかに残業代がどれくらい発生しているのか確認

    まずは、「残業代チェッカー」を使って、ご自身の残業代代がおおまかにどのくらい発生しているのかを確かめましょう。

    残業代チェッカーはこちら

  2. (2)残業代が発生していることを証明する証拠を揃えましょう

    おおまかに計算した上で残業代が発生していた場合には、次に残業代が発生していることを証明する証拠を揃えましょう。
    残業代を請求するにあたっては、証拠が重要になります。
    残業代の請求にあたっては、大きく以下の4種類の証拠が必要になります。

    ①残業していたことを証明する証拠
    例えば、
    ●タイムカードや毎日の勤務時間表のコピー
    ●出勤簿のコピー
    ●交通ICカード型定期の通過履歴
    などです。

    ②残業代の計算にあたり必要な証拠
    例えば、
    ●雇用契約書
    ●就業規則
    などです。

    ③会社が十分な給与を支払っていなかったことを証明する証拠
    全労時間が書かれている給与明細が必要になります。

    ④その他労働審判を利用する場合に必要な資料
    会社の登記簿謄本が必要になります。

    これらの証拠が手元になく、集め方が分からない場合には、弁護士に相談することをお勧めします。

  3. (3)より詳しい残業代の計算

    これから会社側とのやりとりをしていく中で、おおまかな残業代では話が進みません。
    残業代がいくら発生しているのか、正確に算出する必要があります。

    前述した証拠を元に、法的な計算式にしたがって残業代の計算を行います。
    残業代等は、労働者の「1時間当たりの賃金」に「残業時間数」と「割増率」を乗じて算出します。

    労働者の「1時間当たりの賃金」の算定方法は以下の通りです。

    ①日給制の場合
    日給を1日の法定労働時間数である8時間で割って算出します。

    ②月給制の場合
    基本給与を「月平均所定労働時間数」で割って、「1時間当たりの賃金」を算定します。

    なお、「月平均所定労働時間数」は下記の算定式で算出します。

    • 「月平均所定労働時間数」=(365日(うるう年の場合は366日)-1年間の休日数)×1日の所定労働時間数÷12

  4. (4)割増率

    割増率は以下の表の通りです。

    労働の種類 賃金割増率
    時間外労働(法定労働時間を超えた場合) 25%割増
    時間外労働(1ヵ月60時間を超えた場合)
    ※適用猶予の場合有
    ※代替休暇取得の場合は25%の割増無
    50%割増
    深夜労働
    (午後10時から午前5時までに労働した場合)
    25%割増
    休日労働(法定休日に労働した場合) 35%割増
    時間外労働(法定労働時間を超えた場合)+深夜労働 50%割増
    時間外労働(1ヵ月60時間を超えた場合)+深夜労働 75%割増
    休日労働+深夜労働 60%割増


    計算方法をご紹介しましたが、雇用形態・勤務形態によっては「どこまでを労働時間とみなすのか」の判断が難しい場合もあるでしょう。そのような場合や、計算結果が正しいのか自信がない場合などは、弁護士に依頼をするとよいでしょう。
    弁護士に依頼すれば、具体的な雇用形態・勤務状況・証拠を元に、正確な残業代を計算してくれます。

3、残業代請求の流れ

具体的な証拠を揃え、正確な残業代を算出できたら、いよいよ残業代請求の手続きへと移ります。具体的には、以下のような流れで請求を行います。

  1. (1)残業代の計算をもとに会社側と交渉

    実際の残業代の金額が出ましたら、それをもとに会社側と話し合いましょう。
    コンプライアンスを重視している会社であれば、おそらくその時点で未払いの残業代を支払ってくれるはずです。
    しかし、コンプライアンスを無視しているような、いわゆる「ブラック企業」の場合には、話し合いすらまともに応じてくれないことも多いです。

  2. (2)交渉が上手くいかないようであれば内容証明郵便を送る

    まずは、会社に以下の内容を記載した内容証明郵便(郵便局が通知した内容を証明してくれる郵便のことです。)を送りましょう。

    1. 相手方の会社の名前・住所
    2. あなたの名前・住所
    3. 雇用契約について
    4. 残業の事実と残業代未払いの事実について
    5. 「残業の事実と残業代未払いの事実」を証明する証拠があること
    6. 残業代の金額(場合によっては別送で残業代計算書を送ってもよいです。)
    7. 請求金額と支払い期限
    8. 支払い口座


    ただし、内容証明郵便は、法律的にはあくまで普通の書面であるために、内容証明郵便をもらい慣れてしまっている会社などは内容証明郵便を出しても支払ってくれない可能性が高いです。

    しかし、そのような場合でも、内容証明郵便を送ることで「時効の進行を止める」という効果はあります。残業代の時効は2年間で、2年前のものまでしか請求できません。
    そのため、時効によって請求できる残業代の金額が減ることを避ける意味で、内容証明郵便を送ることは重要です。

  3. (3)労働審判・訴訟

    会社との任意の交渉で残業代を回収することができなかった場合には、労働審判、または訴訟の手続きをとって残業代の回収を図ることになります。

    労働審判・訴訟は、法的な知識や手続きが必要になりますので、おひとりで対処するのは非常に困難でしょう。必ず、労働問題に詳しい弁護士へ依頼することをお勧めします。

4、残業代の請求はいつまでにする必要がある?退職後でも可能?

残業代を請求する場合、在籍の有無は関係ないため、退職後であっても、残業代請求はできます。

前述のとおり、残業代請求にも時効があるため、いつまででも請求することがきるわけではありません。具体的には、労働基準法によって、2年と定められています。
そのため、例えば、平成22年10月25日に支払われるはずだった残業代の請求権は、平成24年10月25日に時効によって消滅することになります。この点は注意してください。

まとめ

今回は残業代を請求するために知っておきたい5つのことについて説明してきましたが、いかがだったでしょうか。
ご自身で請求するのか、それとも弁護士に依頼して請求するのかを問わず、今回の話が参考になれば幸いです。

同じカテゴリのコラム

閉じる
PAGE TOP