サービスと言えば聞こえはいいかもしれませんが、どのような理由で残業をしたのであれ、サービス残業も立派な残業であり、その分の残業代について法律上はきちんともらうことができます。
しかし、「残業代を支払って下さい」と言われて支払ってくれる会社は少ないのが現状でしょう。
そこで今回は、サービス残業分を請求する方法について説明していきます。ご参考になれば幸いです。
所定の就業時間を超過して働いている場合には、本来ならば残業代が支給されるはずです。しかし、会社側は労働者に対して様々な理由をつけて「残業代はもらえない」と主張しているのが実態です。
具体的には、以下のように主張して、労働者に残業代を支給しない、いわゆる「サービス残業」を行わせています。
残業代は以下の流れで請求することになります。
残業代を請求しようとする場合には、どのような証拠を集めたら良いでしょうか。
残業代の請求にあたっては、大きく分けて以下の4種類の証拠が必要になります。
①残業していたことを証明する証拠
例えば、
●タイムカードや毎日の勤務時間表のコピー
●出勤簿のコピー
●交通ICカード型定期の通過履歴
などです。
②残業代の計算にあたり必要な証拠
例えば、
●雇用契約書
●就業規則
などです。
③会社が十分な給与を支払っていなかったことを証明する証拠
全労時間が書かれている給与明細が必要になります。
④その他労働審判を利用する場合に必要な資料
会社の登記簿謄本が必要になります。
残業代等は、以下の計算式で算出することができます。
労働の種類 | 賃金割増率 |
---|---|
時間外労働(法定労働時間を超えた場合) | 25%割増 |
時間外労働(1ヵ月60時間を超えた場合) ※適用猶予の場合有 ※代替休暇取得の場合は25%の割増無 |
50%割増 |
深夜労働 (午後10時から午前5時までに労働した場合) |
25%割増 |
休日労働(法定休日に労働した場合) | 35%割増 |
時間外労働(法定労働時間を超えた場合)+深夜労働 | 50%割増 |
時間外労働(1ヵ月60時間を超えた場合)+深夜労働 | 75%割増 |
休日労働+深夜労働 | 60%割増 |
実際の残業代の金額が出たら、それをもとに残業代を任意に支払ってくれるように、会社側と話し合いましょう。コンプライアンスを重視している会社であれば、おそらくその時点で未払いの残業代を支払ってくれるはずです。
しかし、コンプライアンスを無視しているような、いわゆる「ブラック企業」の場合には、話し合いすらまともに応じてくれないことも多いです。
会社側が任意の交渉に応じてくれないようであれば、今度は会社に以下の内容を記載した内容証明郵便(郵便局が通知した内容を証明してくれる郵便のことです。)を送りましょう。
会社との任意の交渉で残業代を回収することができなかった場合には、以下の手続きをとって残業代の回収を図ることになります。
①労働審判
労働審判とは、解雇や給料の不払いなど、事業主と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブルをそのトラブルの実情に即し、迅速、適正かつ実効的に解決することを目的として、平成18年に創設された手続きのことです。
訴訟(裁判)と同じく裁判所で行われる手続きです。期日は3回以内とされており、訴訟に比べて、早期解決が期待できる手続です。
そして、「労働審判」は、裁判所のれっきとした公権的な判断であるため、確定すれば判決と同一の効力があり、差押えをすることも可能になります。
もっとも、審判の結果にどちらかが納得いかなかった場合に、審判に対する当事者から異議の申立てがあれば、労働審判はその効力を失い、労働審判事件は結局、訴訟に移行することになってしまいます。
②訴訟
労働審判をしても解決できなかった場合には、裁判所に民事訴訟を提起して、残業代を回収することになります。
いわゆる「労働裁判」ですので、事案によっては解決までに半年~1年以上かかるケースもあり、長期戦となります。
法的な専門知識も必要になりますので、法的知識に乏しい一般の方が自分ひとりで対処するのは非常に困難です。必ず、労働問題に詳しい弁護士に依頼することをお勧めします。
残業代を請求する場合、在籍の有無は関係ないため、退職後であっても、残業代請求はできます。ただし、前述のように残業代請求には時効があるため、いつまででも請求することがきるわけではありません。
具体的には、労働基準法によって、2年と定められています。そのため、例えば、平成25年11月15日に支払われるはずだった残業代の請求権は、平成27年11月15日に時効によって消滅することになります。
この点は注意してください。
今回は、サービス残業分を請求する方法について説明してきましたが、いかがだったでしょうか。
繰り返しになりますが、サービス残業も立派な残業ですので、残業代はもらえます。
ぜひ、今回の話がサービス残業分を請求したいとお考えの方の参考になれば幸いです。
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労働者にとってみなし残業手当(固定残業代)は、残業が少ない月にも残業代がもらえるというメリットがありますが、会社が正しい運用を行っていない場合、本来はもらえるべき残業代がもらえないということもあります。
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