残業代請求の弁護士コラム

休憩時間の労働に残業代請求はできる? 労働基準法をもとに解説

2020年05月11日
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休憩時間の労働に残業代請求はできる? 労働基準法をもとに解説

働き方改革の影響で残業が制限されるしわ寄せとして、休憩がとれないケースがでてきています。休憩は労働者の心身の健康を保持し、作業効率を上げるという重要な意味がある時間です。付与時間や付与の方法は法律で定められていますが、実際には正しく付与されていないケースが多々あります。


「休憩中のはずが働かされている」「忙しいから仕方なく昼休みを返上している」といった場合には、賃金や別途の休憩を求めることが可能です。

この記事では労働基準法にもとづく休憩時間のルールや残業代請求の対象となる休憩時間、そして休憩がとれないときの対処法を解説します。

1、労働基準法が定める休憩時間とは?

休憩中の労働に対して賃金を請求できるのか、計算はどうするのかを知るためには、休憩時間の正しい知識をもつことが必要です。労働基準法第34条を確認しましょう。

  1. (1)付与される休憩時間

    会社は次の時間に応じ、労働者に休憩を与えなければなりません。

    • 労働時間が6時間を超えるとき……少なくとも45分
    • 労働時間が8時間を超えるとき……少なくとも1時間


    「超える」とあるので、6時間ちょうどのケースでは休憩を与えなくてもよく、8時間ちょうどのケースでは45分の休憩で構わないことになります。

    とはいえ、ちょうどぴったりの時間で勤務を終えられるケースばかりではありません。
    たとえば1日8時間の労働契約を結んだ人の休憩を45分と決めてしまうと、8時間を少しでもオーバーした日には15分の休憩を別途与える必要があり、労務管理が煩雑になります。

    そこで多くの会社では労働時間が8時間の契約を結ぶ場合は休憩1時間、労働時間が6時間の場合は休憩45分と定め、「超えて」働かせることになった場合に違法にならないようにしています。

  2. (2)3つの原則がある

    会社が休憩時間を与えるには「一斉付与」「途中付与」「自由利用」の3原則を守る必要があります。

    ①一斉付与(労働基準法32条2項)
    「一斉付与」とは各労働者が同時に休憩をとるということです。
    しかし一斉に休憩すると支障が生じるケースもあるため2つの例外があります。

    例外1:労使協定による除外
    ひとつは、労使協定による除外です。
    労働者の範囲と休憩の与え方について協定を結ぶと、一斉付与から除外できます(労働基準法施行規則第15条)。

    例外2:業種による適用除外
    もうひとつは業種による適用除外です。
    ①運輸交通、②商業、③金融・広告、④映画・演劇、⑤郵便・通信、⑥病院、⑦旅館・飲食店などの7業種および官公署の事業については、労使協定を結ぶまでもなく一斉付与の原則から除外されています(労働基準法施行規則第31条)。

    ②途中付与
    「途中付与」とは、労働時間の合間に与えなければならないということです。
    そのため、当然ですが、始業前や終業後に付与することはできません。

    ③自由利用
    「自由利用」とは、休憩時間中は労働者が好きなように過ごせるということです。

    ただし職場の施設を管理するうえで必要な制限、たとえば過去の裁判例では、企業内での集会やビラ配布といったことを施設管理者の許可制にすることは問題ないとの判断がされています。

    また警察官や消防士、児童自立支援施設の職員で児童と生活をともにする方などは自由利用の原則から除外されています(労働基準法施行規則第33条)。

2、休憩時間の労働は残業とみなされるか

  1. (1)休憩中に労働したとみなされる可能性があるケース

    休憩時間に労働したことにより1日8時間の法定労働時間をオーバーすれば、いわゆる残業代(割増賃金)が支払われる必要があります。

    加えて、働いた分の時間に対しては別途休憩が与えられなくてはなりません。
    会社は残業代を払ったからといって、休憩時間を短くすることはできないわけです。

    次のようなケースでは「休憩中に労働した」とみなされる可能性があります。

    ■休憩中に労働したとみなされる可能性があるケースの一例

    • ランチという名目だが強制参加(半強制も含む)のミーティング
    • オフィスに待機して行う昼休みで電話や来客対応の当番をさせること
    • 労働の合間の手待ち時間(荷物の到着を待っている時間、客待ちの時間など)
    • 呼び出しがあれば対応が義務づけられている仮眠時間
  2. (2)休憩中に自ら進んで労働した場合、賃金請求の対象になるの?

    休憩中に自ら進んで労働した場合でも、労働時間と扱われ賃金請求の対象となる可能性があります。

    会社は適正に労務管理を行い、休憩中に労働している人に休憩するよう促したり、休憩中に労働しなくて済むように職場の環境を整えたりする義務があるからです。
    これをせずに休憩中の労働を黙認すれば労働基準法違反であり、労働に対して賃金を支払わなくてはなりません。

    一方で労働者側は、必要もないのに休憩中に労働することは避けなくてはなりません。
    休憩ができる状況なのに「早く帰りたいから」などの理由で命令を無視して働いたとしても、その分の賃金を請求することも認められません。

3、休憩時間がとれないときの対処法

「夜間のひとり勤務を強いられている」「人員不足で休憩をとれる状況ではない」など、本当は休憩したいけど仕方がなく働いている場合には改善を求める必要があります。

休憩時間をとりたくてもとれないときには、次の方法が考えられます。

  1. (1)会社へ直接訴えかける

    社長や上司などへ直談判する方法です。
    特に中小企業では上層部に法的知識がなく、人事や労務などの関連部署がないケースも多いでしょう。知らなかったからといって許されるものではありませんが、正しい知識を伝え、理解してもらえれば改善される見込みはゼロではありません。

  2. (2)労働組合を通じて交渉する

    会社への改善要求を個人で行うのはハードルが高くても、労働組合ならば団体交渉を通じて行える強みがあります。ご自身が加入している労働組合があれば相談してみましょう。

  3. (3)労働基準監督署へ相談する

    労働基準監督署は労働基準法や労働契約法、労働組合法などの労働関係に関する法令(以下「労働基準法等」といいます)を守らない企業を取り締まるための機関です。

    休憩を与えないことは労働基準法違反となりますので、相談すれば会社への指導や是正勧告をしてくれる可能性があります。
    窓口、電話、メールなどで相談でき、費用もかかりません。

    ただし、あくまでも会社に法律を順守させることが目的なので、個人的な労働トラブルを直接解決することは期待できません。
    また、労働基準監督署の是正勧告は、あくまで「行政指導」です。指導への対応は任意のため、強制力がなく、会社が動かないケースもあります。
    当然、会社側も是正勧告を無視すれば監督官が立入り調査にやってくるおそれがあり、調査の結果、違反行為が明確となれば処罰を受ける可能性もあります。
    会社側は是正勧告を無視することによるデメリットもあるため、労働基準監督署から会社に対し是正勧告を出してもらうことには大きな意味があります。

  4. (4)裁判で訴える

    労働審判や裁判を起こし、休憩中の賃金を請求することは可能です。
    ただし法的手続きである以上、証拠がなければ主張が通りません。ご自身の手で休憩中の労働がわかる証拠を集める必要があります。

    労働審判や裁判を始めるためには煩雑な手続きもあるので、弁護士へサポートを依頼することで負担が大幅に軽減されるでしょう。

4、労働問題を弁護士に依頼する2つのメリット

休憩の問題を解決するには弁護士へ相談するのが有効な方法です。

  1. (1)交渉や法的手続きは、全てお任せでOK

    個人が休憩中の賃金を請求するには、会社と直接交渉するか、裁判などの法的手段を用いて請求するかの2つが中心となります。

    しかし個人の要求は会社に黙殺される可能性もあり、法的手段を用いるには時間や労力がかかるケースも少なくないうえ、請求できる金額がいくらなのか計算することも容易ではありません。また、会社に継続して勤務したいと考えていれば、今後の立場を考えて強く交渉しにくいということもあるでしょう。

    労働問題の解決に経験豊富な弁護士であれば、労働者の立場を踏まえつつ、代理人となって未払いの賃金を求めることが可能です。
    法律の知識にもとづいて証拠集めのアドバイスや会社との交渉を行うため、会社が請求に応じやすくなる可能性が高まります。

  2. (2)休憩制度の改善が期待できる

    同じ会社で働き続ける以上、過去の未払い賃金を獲得できても、会社の休憩制度そのものが改善されなければ意味がありません。
    しかし、個人の訴えで会社制度を変えるのは大変ハードルが高いことです。

    弁護士が介入し裁判に発展したことで、公開の法廷で事実関係が争われることとなり、そのこと自体が会社の不利益と考える会社もあるかと思います。
    弁護士を介入させることで、会社に対ししっかりとした改善措置を促すことができるでしょう。

5、まとめ

休憩は法律で付与する時間や付与の方法が規定されています。
休憩中の労働は、通常の賃金はもちろん、法定労働時間を超えれば割増の対象にもなりますので、まずは法律が定める休憩の知識を押さえましょう。
そのうえで、思うように休憩をとれていないのであれば会社へ是正を求め、未払いの賃金を求めることが必要です。

休憩時間をはじめとする労働問題でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。
労働問題の解決実績が豊富な弁護士がトラブルの解決に向けて全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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